テレイグジスタンス・ローバー

テレイグジスタンス・ローバーは、日本電気株式会社(NEC)と株式会社ハシラスが開発した、VRヘッドセットとVRモーション・シミュレーター「キックウェイ」、自走式ローバーを組み合わせたテレイグジスタンス・システムの研究プロジェクトです。

テレイグジスタンス・ローバー

5Gのポテンシャルを活かすテレイグジスタンス

テレイグジスタンスとは、遠隔地のロボットを、まるでユーザー自身が実際に遠隔地にいるかのように操作する技術です。ロボットが得たカメラやセンサーの情報をユーザーに伝え、またユーザーの操作をロボットに伝えるなど双方向のリアルタイムな通信が重要であるため、大容量・低遅延な通信を実現する5G(第5世代移動通信システム)のユースケースのひとつとして有望視されています。

テレイグジスタンス・ローバー

テレイグジスタンスの課題を解決する

一方で、現在のテレイグジスタンス・システムには課題もあります。そのひとつが、遠隔地のロボットの動きと、操作するユーザーの間の「体感の不一致」に起因する「気持ち悪さ、酔いやすさ」です。

自分自身が動いているという感覚は、ヒトの視覚、前庭感覚(加速度や傾斜を感じる感覚)、体性感覚(皮膚感覚や四肢に伝わる感覚など)などから得た知覚情報が総合的に処理され生じていると考えられています。例えば人間が車を運転していて右折する場合、視界の変化という視覚情報に加え、旋回によって生じる遠心加速度などを感覚器官が受け取り、それらを総合して「右に曲がった」という感覚が生まれます。

一方、遠隔のロボットを右に旋回させる時、ユーザーに対して視覚情報しか提供されない場合を考えてみます。この場合、本来は存在するはずの加速度などの情報を人間の身体が感じられないため、視覚と前庭感覚/体性感覚の間に不一致が生じ、非常に酔いやすくなるのです。

本研究では、ハシラスが開発した立ち乗り形のモーション・シミュレーター「キックウェイ」をユーザー側のインターフェースとして用いることで、上述したような体感の不一致を低減することを目指しました。

VRの視覚情報と、キックウェイが発生させる加速度体感を組み合わせた際の臨場感向上、および酔いの低減は、ハシラスの既存コンテンツで実証されており、その知見をテレイグジスタンスにも適用したものとなります。

ローバーの動きと連動するモーション・シミュレーター「キックウェイ」

仕組み

テレイグジスタンス・ローバーの機器構成は下記のようになっています。

  • ローバー側
    • メガローバー
    • PC
    • 360度カメラ
  • ユーザー側
    • VRヘッドセット
    • コントローラー
    • PC
    • モーション・シミュレーター「キックウェイ」

ユーザーはVRヘッドセットを装着することで、ローバー搭載の360度カメラから視覚情報を受け取ります。もちろん、360度の方向を見回すことが可能です。

ローバーの走行は、ユーザーが手に持ったコントローラーの操作で行われます。ユーザーの操作を受け取ったローバーは、操作に応じて前進や旋回といった動作を行います。この際、動作に応じた加速度を「キックウェイ」が生成し、ユーザーに伝えます。例えばローバーが前進するとキックウェイの搭乗部は前方にスライドし前進加速度を発生させます。この加速度がユーザーの前庭感覚等を刺激し、視覚情報と合わせて、「本当に前に進んでいるような」リアルな感覚を与えます。

テレイグジスタンス・ローバー

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